バーチャルオフィスで不動産業の開業は不可能なのか
バーチャルオフィスでの不動産業の開業については「ネットで許可が取れると見かけた」という方も多いのですが、レンタルオフィスとバーチャルオフィスの認識が混同してしまっている方がほとんどであるように感じます。 レンタルオフィスであれば条件によって宅建業免許の取得が可能です。しかし、バーチャルオフィスでは不動産業の開業条件に満たないため不可能でしょう。
不動産業を営む事務所として認められるためには、原則として「場所は一ヶ所に定着していて、すぐに移転させない」というルールがあります。そのため、短い期間での契約ができ、移転も簡単にできるレンタルオフィスは「一ヶ所に定着」という点で信頼性に欠け、本来は不動産業の事務所として使用するにはそぐわないものとなってしまいます。そうなると、バーチャルオフィスの活用はさらに条件にそぐわないものとなります。 レンタルオフィスを活用するには、通常のオフィスビルと比べて条件は増えてしまいますが、間取り等を工夫すれば事務所として認められる場合もあります。 まずは前提として特に注意すべきことは、自社のスペースと他社のスペースが簡単なパーテーションではなく壁で区切られていて、ビルの入り口から他社のスペースを一切通らずに自社のスペースにたどり着けることです。 他社との同居を前提とした「シェアオフィス」という形は、事務所としての独立性が認められないためNGであり、バーチャルオフィスも同じように定着性、独立性ともに認められないためNGです。
レンタルオフィスとバーチャルオフィスの違い、レンタルオフィスのメリット
不動産業の事務所設立の条件として、定着性に加え、専任であり成年者の宅地建物取引士が必ず在籍していること。次に、専任の「宅地建物取引士」いわゆる「宅建士」の在籍していることが必須です。従業員5名に対して1名の割合で宅建士が在籍していなければならないので、不動産業がある程度軌道に乗ってきたら従業員を増やすとともに、宅建士の人数も必要です。一番費用を抑えられるであろうバーチャルオフィスを活用した方が…と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、バーチャルオフィスに従業員や宅建士を在籍させること自体は可能でも、バーチャルオフィスには定着性も独立性も認められず不動産業の開業はできません。不動産業の開業審査もバーチャルオフィスでは通らないので気を付けましょう。
レンタルオフィスはビルの一室を借りるのではなく、より小さな区画を短い期間で借りるというようなイメージをしてもらえればわかりやすいかと思います。そのため、ビルの一室を借りるのと比べるとかなり費用を抑えることができる点が大きなメリットです。費用を抑えられるという点ではバーチャルオフィスと似ていますが、実体のある区画を借りることができるという点がバーチャルオフィスとの大きな違いです。 また最近のレンタルオフィスには、ウォーターサーバーやWi-Fi環境といった設備があらかじめ整えられている場所も多く、何もない場所からオフィス作りをしなくて済むという点もメリットとして挙げられます。バーチャルオフィスは不動産業での活用はできませんが、設備が整っているという点も違いのひとつとして挙げられます。 借りる区画も小さく不動産業を運営できるので、近い区画を借りている他の事業者の方との距離も近くなることも多く、ビジネスチャンスが広がる可能性もあります。ただ、宅建業法の条件の中には、「24時間365日、自社社員のみが利用できる」事務所であることがルールとして定められています。他社との共有スペースがあっては不動産業の開業要件に満たさないため気を付けましょう。また、不動産業を運営するにおいて、似ている点もありますがバーチャルオフィスとレンタルオフィスの認識が混同しないよう気をつけましょう。